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臨床薬剤師が薬物治療を行ううえで必要と思われる、また、あってよかったと考えている書籍を紹介します。これらの書籍を参考に、病む患者さんのために最適な薬物治療が施されるよう日々活躍していきましょう。
病む患者さんのため薬物治療を真剣に考える薬剤師の皆さん、ここに紹介する書籍は当然のごとく常備しているでしょうか。ここでは薬剤師の基礎体力を向上させるための書籍を紹介したいと思います。
医療職のなかで、個々の患者さんにもっともふさわしいと考えるオーダーメイドの薬物治療を考えることができるのは、当然、薬剤師だけです。10年ほど前までの薬剤師の病棟業務というと、病棟へあがり医師、看護師とともに肩をならべようと努力するものの、多くの薬剤師の仕事としては、患者さんとの面談で患者への情報提供、またその情報を医療スタッフへ報告するという、簡単にいうと伝書鳩のような役割に満足していました。しかし、本来薬剤師のすべきことは、面談から得る患者情報、患者への情報提供のみならず、医療チームの一員として医師への処方の提案、薬物治療の提案、考察ということだと考えます。残念なことに薬物治療を考えるというスキルは、薬学部を卒業しただけでは得にくいものだと考えます(卒業した大学にもよりますが)。そこで実際に使用して非常に役立った書籍を紹介したいと思います。
患者さん個々の薬物治療を考える上では、当然、また別に特殊な書籍も必要と考えます。
無駄な医療を減らし、最適な薬物治療が施されるよう、薬剤師の能力の底上げに役立てば幸いです。
さて、実際に薬物治療を考えるといってもどういうことか分かりません。薬物治療をモニタリングするということの本質が理解できそうな書籍を以下に紹介します。
●アプライドセラピューティクス―症例解析にもとづく薬物治療〈1〉
●アプライドセラピューティクス―症例解析にもとづく薬物治療〈2〉
●アプライドセラピューティクス―症例解析にもとづく薬物治療〈3〉
●アプライドセラピューティクス―症例解析にもとづく薬物治療 (4)
●アプライドセラピューティクス―症例解析にもとづく薬物治療 (5)
「アプライドセラピューティクス」は米国カリフォルニア大学とワシントン州立大学の臨床薬学コースで教えられている内容の集大成として出版された書籍です。さまざまな症例を用いて、選択された医薬品が適切か、投与量、剤形は適切か、治療効果を判定すべき項目・時期、副作用のモニタリング項目・時期はいつか、など薬物治療を適正に行うために必須となる考え方が明示されています。これまで、そのような視点から薬物治療を考察していなかった薬剤師にとってはまさに目からウロコの書籍といえるでしょう。
ただし、この書籍の欠点は日本語版は原著第6版の訳本であるということ。それはつまり引用されている文献等が古いので、ここに記載されていることそのまま「今日の治療薬」的な考えで現医療に適合させるというのは非常に危険なことだといえます。医療はまさに日進月歩であり常に最新の情報を手に入れる必要があります。したがって、日本語版は考え方を学ぶという程度に収めておいたほうがよいと考えます。
そして、最新の情報としてやはり原著をお勧めします。現在第9版が出版されています。
●Applied Therapeutics: The Clinical Use of Drugs (Point (Lippincott Williams & Wilkins))
上記の「アプライドセラピューティクス」が高いな~と感じる人はまず入門として「SOAPワークブック」がいいかもしれません。こちらの書籍も薬物治療を考えるとはどういうことかがコンパクトにまとまっており、症例も紹介されています。
●症例から学ぶSOAPワークブック―薬剤師が行う薬物治療マネジメント
実際にはそれぞれの症例ごと必要となる書籍は違ってきます。また、本質的には書籍に頼らず、文献をあたるというのが完全なオーダーメイド医療の提供ということになると思われます。しかし、とりあえずここでは症例にあたるときに第一段階として必ず目を通しておきたい書籍を紹介します。
薬物治療をモニタリングするという観点から、もっとも有用な書籍はなんといっても「Pharmacotherapy」でしょう。この書籍には疾患の定義、病因、病態生理、臨床症状、診断、薬物治療においては治療の目標、指標、投与量、副作用の出現時期、代替治療など薬物治療を考察する薬剤師にとっては必須の情報が目一杯つまっています。
●Pharmacotherapy: A Pathophysiologic Approach (Pharmacotherapy : a Pathophysiologic Approach)
「Pharmacotherapy」はcasebookも出版されています。こちらは実際に症例に触れる機会がなくても症例を手に入れることができるので、自己研鑽のためにこのcasebookを用いて勉強することはお勧めです。ただし日本によくあるテキストのように解答集のようなものはないので、独学するというよりはグループを結成して、いろいろな視点から解答を引き出したり、意見を出し合うほうが有用だと思われます。
●Pharmacotherapy Casebook: A Patient-Focused Approach
次に紹介する「クリニカルファーマシーのための疾病解析」は「pharmacotherapy」に欲しい情報がなかったときや自分の考察に落ち度がないかを確認するためにあったほうがよいかもしれません。「pharmacotherapy」とは違い、日本語版もあるので少し安らぎます。
●クリニカル・ファーマシーのための疾病解析
「クリニカルファーマシーのための疾病解析」は「アプライドセラピューティクス」同様、訳本であるため最新原著も以下に紹介します。現在日本語版は第7版の訳本、原著は第8版が最新のようです。
●Textbook of Therapeutics: Drug and Disease Management
薬学部を卒業した薬剤師が臨床現場で働くときに「薬理学」の知識はほぼ十分といえるでしょう。しかし「疾患」に関する知識というのは正直おままごと程度かもしれません。そこであると便利な書籍は上記に羅列した書籍に加えて以下の書籍を紹介します。
●ハリソン内科学 第3版 (原著第17版)
●ワシントンマニュアル 第11版
「ワシントンマニュアル」は大雑把ではありますが、幅広く網羅されていて、また、書籍がコンパクトなので病棟などへの持ち運びに便利です。臨床薬剤師としては必携の書籍といえるでしょう。
「ハリソン内科学」は字も小さく、非常に読みづらいという欠点はありますが疾患の分類など必要な項目があり、一度は目を通したいものです。ただし高価なので個人買いするのは少し躊躇してしまうかもしれません。積極的に勤務先に購入してもらいましょう。